2018年11月21日、弊社はマロニエプラザにて開催された「ものづくり展示商談会(足利銀行主催)」に出展しました。今回はホットスタンプ技術を使ったプレス品主体に展示すると共に、弊社の加工技術紹介も行っています。ホットスタンプ技術を活用したアルミ板は鋼鈑の中でも成形性の良いSPCEに比べても優れ、簡易形状のダイカスト品の代替が可能です。ダイカスト品の課題である、寸法形状・材料内部(引け巣、ブローホール)・耐食性・熱伝導性を向上させ、薄肉化・生産性向上・低コスト化に貢献することが期待できます。以下に今回の展示品をコメント付きでご紹介すると共に、同じ形状品を3Dプリンターでも製作して展示し、アルミヒートシンクの冷却状態を見える化(デモ装置)することにも使っています。ご覧下さい。
展示品の外観を以下に示します。各写真についてのコメントもご覧下さい。
アルミホットスタンプと鋼鈑SPCE(冷間プレス)の成形性比較を以下に示します。いずれも1回のプレスで成形されたものであり、鋼鈑には割れが認められ、アルミホットスタンプでは割れは認められません。なお、アルミ板を冷間プレスで同じ形状を得る場合には10工程以上の金型が必要になります。
今回、新たに別形状のホットスタンプ試験を行いました。プレス直後の状態を以下に示します。製品が金型に張り付いてしまったため、取り外し(治具使用)に際して変形を生じています。実用化時には改善を図ります。
成形試験後、レーザーにてトリミングおよび穴あけ加工を施したものを以下に示します。製品のフランジ部にはしわは認められず、縮みフランジ成形に伴うしわ発生が抑制されます。面歪も良好であり、ダイカスト品に必要な切削加工(接合部)を省略することが期待できます。
アルミ板(同じ金型)を用いて冷間プレスによる割れ発生を確認しました。下死点10㎜手前でコーナー部に割れが認められ、以下の通り製品形状には程遠いことが判ります。
弊社ではアルミヒートシンク(アルミHS)の水冷ジャケットにダイカスト品を使用しています。アルミHS基盤の冷却フィンは切削加工にて形成され、寸法形状に優れるフィンは冷却性能の向上に貢献しています。以下写真には切削基板と組立品(ジャケットはホットスタンプ品)を示します。
水冷ジャケット品の製作について、3Dプリンターの活用も試みました。以下の通り、アルミ材(Al-10%Si-Mg)と樹脂の2種類です。アルミはパウダーベットフュージョン方式で、樹脂は光造形方式で製造されています。後者の樹脂品は研磨を加えて透明化させています。これは次のアルミHSの冷却状況を見える化するためです。
アルミHSの冷却性能を見える化として、以下の装置を展示しました。更なる工夫、改善が必要ですが、加熱体の冷却状態を観察することはできました。今後の課題としてはフィン間の水流状態および基盤面の温度急変の見える化です。
弊社は切削加工品(船舶用インペラ:ミニチュア盤)についても、3Dプリンターでの評価を行っています。窒素雰囲気ではアルミの3Dプリンターはできませんので、止む無くモリブデン鋼で確認しています。アルミの場合にはアルゴンガス雰囲気が必要となりますが、凝固割れを招きやすいアルミでは3Dプリンターによる成形が難しいです。現段階では一部のAl-Si合金(ADC12含む)に限られています。
<弊社事業内容:パネルご参照>
2017年導入の新規設備(5軸加工のウォータジェット、大型マシニングセンタ)を入れたパネルです。異形状切断、大型切削加工のご用命がありましたら、ご連絡願います。